2009年01月14日

自由と孤独

そのバーで
 ホットラムを注文した初老の男は
 アンゲロ・プロスというギリシャ
 映画監督の話を
 突然、桜が咲いたような顔でし始めた

 俺にはあの映画一本あればいいんだ
 「シテール島への船出」
 あのロングカットに
人生の豊穣があるんだ

僕は、傍らでフォア・ローゼスの水割りを
なめるように飲みながら
呟いた
「人生って、なんでしょうね」

彼にはその声は、届かなかった
たゆとう時間のなかを
僕はふらふらと
トイレにたった

夜明けの車道
煙草に火をつけるのは、罪だ

あのロングカットに
人生の豊穣があるんだ
初老の男は
そう繰り返した

夢を見ていたんだ
 あの銀幕の影法師は…

桜が咲いたような
夜を抱きしめる二月
脳震盪ぎみの
ボーダーレスの冬に
酒を注いだ


【リンちゃん】
 随分、昔に書いた詩です。
 作品中、「初老の男」とあるのは、かつて、彼と横浜平和映画祭を12年、一緒にやった。同志・Fukuju氏です。
posted by リンちゃん at 01:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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